働き方改革がはじまり、時間外労働の上限規制が改正されてからしばらく経ちました。
改めて、
労働基準法、守っていますか?
01 守っていますか?労働基準法~違反した場合は・・
2019年から働き方改革(長時間労働の解消、年5日以上の有給休暇取得義務、正社員と非正規社員の格差是正など)がスタートし、長時間労働から労働者を守るため、月の時間外労働時間の上限が設定されました。
技能実習制度においては、技能実習生のひと月の時間外労働時間(注1)を超えた場合、監理団体は外国人技能実習機構へ軽微変更の届出をしなければなりません(注1:月45時間、変形労働の場合42時間)。
これは、もともと時間外労働時間は認定計画の時間に含まれていないことによります。
技能実習生は《技能技術を身に付け母国に持ち帰り、母国の発展に寄与する》ために来日しているからです。
もちろん労働基準法では、時間外労働の上限は技能実習生だけではなく、全ての社員や従業員が対象となりますから、企業は一人一人の労働時間をしっかり管理把握することが重要となります。
では、労働基準法に定められている法令を守らなかった場合は、どうなるのでしょうか?
01-01 代表的な労働基準法違反
代表的な労働基準法違反の例を、罰則の重い順にご紹介します。
罰則一位
1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金(第117条)
違反内容
【強制労働の禁止】(労働基準法第5条)
罰則二位
1年以下の懲役または50万円以下の罰則(第118条第1項、2項)
違反内容
【労働者からの中間搾取、最低年齢未満の児童への労働強要など】(第6条、第56条1項など)
罰則三位
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(第119条)
違反内容
【労働者に違法な時間外労働をさせていたり、時間外労働や深夜労働・休日労働の割増賃金未払いなど】
(第32条、第36条第6項、第37条など)
罰則四位
30万円以下の罰金(第120条)
違反内容
【休業手当の不払いや就業規則の作成・届出義務違反、労働者に対して労働条件を明示しない行為など】
(第15条1項、第26条、第89条など)
・・・などがあげられます。
01-02 守ろう労働基準法
是正勧告をうけても企業が全く改善しなかったり、労働基準監督署の調査に協力的でなかったりすると、刑事事件となり逮捕に至ったというケースが過去にはありました。
働き方改革以降、労働基準法の取り締まりは厳格化されてます。
法令は企業で働いている従業員全てが対象になるわけですから、技能実習生も当然含まれます。
労働基準法遵守の観点からも、技能実習法遵守の観点からも、労務管理は重要というわけです。
02 守っていますか?労働基準法~認定取り消しも・・
労働基準法違反の場合、上に挙げたような罰則規定がありますが、技能実習生の受入企業の場合、認定の取り消し処分がくだされることもあります。
02-01 認定取り消しの実例
【認定取り消しとなった実例】
・3名に違法な時間外労働(最大月130時間)をさせた(内1名は過労死認定)。
・無資格の労働者に最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転させた(柱とフォークリフトの間に足を挟めて労災事故)。
・無資格の労働者にフォークリフトを運転させた。
・無資格の労働者にクレーンの玉掛作業を行わせた(移動時に災害が発生。死亡事故)。
・労働災害の発生状況を偽った労働者私傷病報告を提出した。
・労働者7名に36協定の延長時間を超えた違法な時間外労働を行わせた。
・技能実習生に、違法な時間外労働をさせ割増賃金を払わなかった。また、賃金台帳に虚偽に記載
(タイムカードを2枚ずつ使用/裏帳簿 作成)していた。
・プレス機に事故を防ぐ措置を講じていなかった。(労災事故)
・同社役員が就任していた別会社に労働関係法令違反で罰金刑。
・労基署に虚偽の陳述を行った(技能実習生に対し100時間超の違法残業をさせ、適正外の残業代を別口座に振り込んだ)。
などがあります。
・・・認定取り消しだけでは済まないようなものが多いですね。
02-02 必ず守ろう労働基準法
違反すれば罰則が科せられ世間からの信用も失い認定も取り消され労働者も不幸になり・・と、当たり前ですがひとつもいいことはありません。
必ず労働基準法を守りましょう。
もし、疑問や不確定な事案などがあった際は管轄の労働基準監督署に相談することをお勧めします(※最終的な判断は労働基準監督署です)。
03 まとめ
現在、技能実習生を受け入れている実習実施者のみなさま、今後受け入れを検討されている企業さま。
これからも法令を遵守し、働きやすい職場環境の維持、構築に努めていただきますようよろしくお願いします。
エヌ・ビー・シー協同組合は、これからも全力でサポートしていくことをお約束します。