介護実習のすゝめ
2017年11月1日の外国人技能実習制度の変更に伴い、移行対象職種に介護職種が追加されました。この介護職種は、【特定技能】や【介護】といった、技能実習とは異なる在留資格としての進路も用意されており「日本に長期的に滞在して活躍したい」といった外国人から注目を集めています。このページでは、介護職種の詳細についてご紹介していきます。
1. 「介護」実習で認められる業務内容
はじめに「介護」実習で認められる業務内容について見ていきましょう。 厚生労働省より発表されている技能実習計画審査基準における介護職種の業務の定義は、【身体上または精神上の障害があることにより、日常生活を営むのに支障がある人に対し、入浴や排泄、食事などの身体上の介助やこれに関連する業務をいう。】とあります。
技能実習においては、下記の必須業務(年間の所定労働時間の2分の1以上実施すること)や関連業務、周辺業務が決められています。一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられた以下の業務が移転対象となります。
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・必須業務:身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
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・関連業務:身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
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・周辺業務:その他(お知らせなどの掲示物の管理等)
2. 介護職種 実習項目
2-1. 必須作業
(1)身体介護業務(これらに関連する、準備から記録・報告までの一連の行為を含む) |
①身じたくの介護 1)整容の介助
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2)衣服着脱の介助
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②移動の介護 1)体位変換
2)移動の介助
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③食事の介護 1)食事の介助 |
④入浴・清潔保持の介護 1)部分浴の介助
2)入浴の介助 3)身体清拭 |
⑤排泄の介護 1)トイレ・ポータブルトイレでの排泄介助 2)おむつ交換 3)尿器・便器を用いた介助 |
⑥利用者特性に応じた対応(認知症、障害など) 1)利用者特性に応じた対応 |
(2)安全衛生業務 |
①雇入れ時等の安全衛生教育 |
②介護職種における疾病・腰痛予防 |
③福祉用具の使用方法及び点検業務 |
④介護職種における事故防止のための教育 |
⑤緊急時・事故発見時の対応 |
2-2. 関連業務、周辺業務
関連業務】 |
①掃除、洗濯、調理業務
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②機能訓練の補助やレクリエーション業務
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③記録・申し送り
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【周辺業務】 |
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2-3. 備品説明
【機械、設備等】必要に応じて使用する | |
入浴 |
介護用浴槽、入浴用リフト、バスボード、浴槽マット、シャワーチェア、シャワーキャリー、浴槽内いす等 |
移動 |
スイングアーム介助バー、移動用リフト |
その他 |
特殊寝台、スクリーンやカーテン等 |
【用具】必要に応じて使用する | |
整容 |
洗面容器、ブラシ、タオル、ガーゼ、歯ブラシ、コップ、ガーグルベースン、スポンジブラシ、舌ブラシ、デンタルフロス、綿棒、歯磨き粉、マウスウォッシュ等 |
入浴 |
洗面容器、タオル、ガーゼ、スポンジ、石鹸、保湿クリーム、温度計等 |
食事 |
食器一式(皿、スプーン、フォーク、ナイフ、箸、コップ等)、食事用エプロン等 |
排泄 |
ポータブルトイレ、尿器・便器、おむつ(紙製、布製)、タオル、ガーゼ、トイレットペーパー等 |
衣服の着脱 |
衣類(上着類、下着類) |
移動 |
スライディングボード、クッション、体位変換器、車いす(自走、電動含む)、車いす付属品、歩行器、歩行補助杖(T字杖、ロフストランド・クラッチ、多点杖、松葉杖等)等 |
利用者特性に応じた対応 |
義歯、義肢装具、補聴器、コミュニケーションボード、白杖、眼鏡等 |
その他 |
シーツ、タオルケット、毛布、枕、枕カバー等、バイタル計測器、マスク、手袋、調理器具、掃除用具、レクリエーションにかかる道具、リハビリに関する用具等 |
3. 介護実習生のコミュニケーション能力について
介護技能実習生は、他の職種と違い日本語能力を高めてから実習を行うことが定めされています。具体的なコミュニケーション能力の要件としては以下となります。
技能実習生 コミュニケーション能力の要件 | |
技能実習1号(1年目) |
日本語能力試験のN4に合格している者、その他これと同様以上の能力を有すると認められるもの N4:基本的な日本語を理解することができる |
技能実習2号(2年目~) |
日本語能力試験のN3に合格している者、その他これと同様以上の能力を有すると認められるもの N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる |
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いますぐ相談する >4. 実習実施者・施設に関する要件
その他に、受け入れる側の実習実施者(企業)や施設についても、要件が定められています。
4-1. 実習実施者の要件
-
・常勤職員の範囲を主たる業務が介護等の業務である者に限定
-
・介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等を技能実習指導員とする
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・対象項目ごとに詳細な技能実習計画書
-
・専門用語や介護の基礎的な事項を学ぶ入国時の講習
4-2. 受入対象施設
児童福祉法関係の施設・事業 |
・肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関(国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するもの) ・児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・障害児入所施設 ・児童発達支援センター ・保育所等訪問支援 |
障害者総合支援法関係の施設・事業 |
・短期入所 ・障害者支援施設 ・療養介護 ・生活介護 ・共同生活援助(グループホーム) ・自立訓練 ・就労移行支援 ・就労継続支援 ・福祉ホーム ・日中一時支援 ・地域活動支援センター |
老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業 |
・指定認知症対応型共同生活介護 ・指定介護予防認知症対応型共同生活介護 ・介護老人保健施設 ・指定通所リハビリテーション ・指定介護予防通所リハビリテーション ・指定短期入所療養介護 ・指定介護予防短期入所療養介護 ・指定特定施設入居者生活介護 ・指定介護予防特定施設入居者生活介護 ・指定地域密着型特定施設入居者生活介護 ・第1号通所事業 ・老人デイサービスセンター ・指定通所介護(指定療養通所介護を含む) ・指定地域密着型通所介護 ・指定介護予防通所介護 ・指定認知症対応型通所介護 ・指定介護予防認知症対応型通所介護 ・老人短期入所施設 ・指定短期入所生活介護 ・指定介護予防短期入所生活介護 |
一部対象 その1 ・養護老人ホーム ・軽費老人ホーム ・ケアハウス ・有料老人ホーム 特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)、介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)、地域密着型特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型地域密着型特定施設入居者生活介護を除く。)を行う施設を対象とする。 |
一部対象 その2 ・指定小規模多機能型居宅介護 ・指定介護予防小規模多機能型居宅介護 ・指定複合型サービス 訪問系サービスに従事することは除く。 |
生活保護法関係の施設 |
・救護施設 ・更生施設 |
その他の社会福祉施設等 |
・地域福祉センター ・隣保館デイサービス事業 ・ハンセン病療養所 ・原子爆弾被爆者養護ホーム ・独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 ・原子爆弾被爆者デイサービス事業 ・原子爆弾被爆者ショートステイ事業 ・労災特別介護施設 |
病院又は診療所 |
・病院 ・診療所 |
5. 年間受入可能 介護実習人数枠
介護技能実習生の人数枠は、実際に施設等で「介護の分野で業務にあたっている常勤職員」によって、受入可能な基本人数枠が決まっています。つまり、事務作業員や用務員、掃除、調理師は社員数に含めることが出来ません。ただし、看護師やパートタイマーでも介護業務に携わる方はカウントする場合があります。
介護に従事している |
基本人数枠 |
全体 1・2号 |
301人以上 |
常勤職員数の20分の1 |
常勤職員数の20分の3 |
201~300人 |
15人 |
45人 |
120~200人 |
10人 |
30人 |
101~119人 |
10人 |
30人 |
72~100人 |
6人 |
18人 |
51~71人 |
6人 |
18人 |
41~50人 |
5人 |
15人 |
31~40人 |
4人 |
12人 |
21~30人 |
3人 |
9人 |
11~20人 |
2人 |
6人 |
3~10人 |
1人 |
3人 |
2人 |
1人 |
1人 |
1人 |
1人 |
1人 |
介護に従事している |
【優良認定】 |
【優良認定】 |
301人以上 |
常勤職員数の20分の1 |
常勤職員数の5分の3 |
201~300人 |
30人 |
180人 |
120~200人 |
20人 |
120人 |
101~119人 |
20人 |
101~119人 |
72~100人 |
12人 |
72人 |
51~71人 |
12人 |
51~71人 |
41~50人 |
10人 |
41~50人 |
31~40人 |
8人 |
31~40人 |
21~30人 |
6人 |
21~30人 |
11~20人 |
4人 |
11~20人 |
3~10人 |
2人 |
3~10人 |
2人 |
2人 |
2人 |
1人 |
1人 |
1人 |
6. 入国後講習について
介護職種の入国後講習については、一般的な技能講習制度のルール加え、「介護講習42時間」および「日本語講習を240h」行わなければならないという規定が定められています。 ただし、介護実習生がN3(日本語検定能力3級)の資格を所持していれば、「日本語講習は80h」でよいというルールがあり、技能実習生の日本語能力によって1ヶ月間の講習で済むケースもあります。また、現在ではオンライン講習を併用することは可能であるため、介護講習以外はオンライン上で講習を行う場合もあります。参考として以下の表をご参照ください。
講習内容 |
|
日本語学習 |
240時間 |
介護導入講習 |
42時間 |
法的保護等に必要な情報 |
8時間 |
生活一般等 |
適宜 |
合計290~320時間 |
6-1. 日本語学習について
日本語学習 |
|
総合日本語 |
100時間 |
聴解 |
20時間 |
読解 |
13時間 |
文字 |
27時間 |
発音 |
7時間 |
会話 |
27時間 |
作文 |
6時間 |
介護の日本語 |
40時間 |
合計 240時間 |
6-2. 介護導入講習について
介護導入講習 |
|
介護の基本Ⅰ・Ⅱ |
6時間 |
コミュニケーション技術 |
6時間 |
移動の介護 |
6時間 |
食事の介護 |
6時間 |
排泄の介護 |
6時間 |
衣服の着脱の介護 |
6時間 |
入浴・身体の清潔の介護 |
6時間 |
合計 42時間 |
6-3. 講習をおこなう講師要件
講師要件:日本語に関する科目 |
大学又は大学院で日本語教育課程を履修し、卒業又は修了した者その他これと同等以上と認められる者(※) (※)大学又は大学院で日本語教育科目26単位以上修得し、卒業又は修了した者、日本語教育能力検定試験に合格した者 |
講師要件:介護に関する科目 |
介護福祉士養成施設の教員として、介護の領域の講義を教授した経験を有する者その他これと同等以上と認められる者 (※)福祉系高校、実務者養成研修施設、初任者研修施設において、生活支援技術の講義を教授した経験を有する者 等 |
ちなみに、エヌ・ビー・シー協同組合の専属研修センター(千葉県内2施設)の入国後講習は、介護福祉士による介護実習生向けの講習も行っており、他の監理団体の方も、傘下でない企業も受講を歓迎しております 。受講方法・講習費などは、お気軽にお問合せください。
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いますぐ相談する >7. まとめ
いかがでしたでしょうか。介護の分野においては「介護福祉士の試験に受かり、長く働き続けたい。」「母国に帰ったあと、介護職で起業したい。」といったやる気に満ちた技能実習生もいます。そんな技能実習生が安心して実習するためにも、正しい知識や万全な監理支援のある団体と連携することが大切といえます。エヌ・ビー・シー協同組合では、介護現場の皆様と協力し、多くの方に喜ばれるサポートを心掛けてまいります。介護における制度の詳細や、支援内容については弊組合スタッフまでお気軽にお問合せください。
8. 参考コンテンツ
8-1. 【動画:N3はどのくらい話せるの?”介護候補生”】
8-2. 【ebook:ポイント要約 介護実習生の基礎知識】
【関連ebook】 実習生が日本でおこなうのは”労働”ではなく”実習”ですが、しかし実習実施者と技能実習生は雇用契約を結び、労基法も適用されます。 そのように抑えておく法律をまとめていますので、ぜひご利用ください。
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